日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
Leuconostoc citrovorumによる菌体内プロテアーゼの生産とその性質
鴇田 文三郎細野 明義
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 47 巻 5 号 p. 277-282

詳細
抄録

ホモ型発酵乳酸菌による菌体内プロテアーゼの生産ならびにその性質については既に詳細な研究がなされているが,ヘテロ型発酵乳酸菌についてはそのプロテアーゼ活性が微弱であることもあってほとんど詳しい研究がなされていない.筆者らはヘテロ型発酵乳酸菌のうち,乳製品製造上重要なLeuconostoc citroaorumの菌体内プロテアーゼの生産と,産生酵素の抽出およびその性質について検討した.30°Cで培養開始後,増殖が対数期に入った時点で菌体内プロテアーゼが最も顕著に生産され,培養24時間目で最高に達し,以後培養時間の経過とともに漸減した.30°Cで24時間培養の菌体を超音波処理後,硫安分画をして得た酵素液の性質を全カゼインを基質にして調べた.その結果,活性至適pHおよび温度がそれぞれ7.5付近および45°Cにあり,40°Cで10分の加熱により活性の低下が始まることを認めた.また,αs-カゼイン,β-カゼイン,粗κ-カゼインのうち,本酵素はαs-カゼインを最も顕著に分解することを認めた.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top