日本畜産学会報
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ミロシナーゼ不活化菜種粕給与ヒナの生体内における生理活性ゴイトリン生成量
秋葉 征夫松本 達郎
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1979 年 50 巻 2 号 p. 73-78

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抄録

動物の消化管内微生物には,glucosinolateを分解する酵素ミロシナーぜを有するものが存在すると報告されている.本試験では,加熱処理によってミロシナーゼを完全に失活させた菜種粕,または菜種より抽出したglucosinolateを,白色レグホーン種雄ヒナに7日齢より14日間給与し,甲状腺肥大指数に基づいて,ヒナの消化管内で生成した生理活性goitrin量を測定し,菜種粕給与時のヒナの甲状腺肥大に対する消化管内微生物の関与について検討した.菜種粕の給与量を5段階(2~20%)に設定したが,ヒナ消化管内での活性goitrin生成量は,菜種粕の給与量に関係なく一定で,飼料100g当り3.3±2.1mgと算定された.またglucosinolateを給与した場合も,ヒナ消化管内での活性goitrin生成量は,glucosinolate給与量(0.18~1.23%)に関係なくほぼ一定で,4.2±2.0mgと計算された.したがって,飼料中のミロシナーゼが完全に失活していれば,ヒナ消化管内で生成する活性goitrin量は微量であるので,菜種粕給与時のヒナの甲状腺肥大に対して,消化管内微生物はわずかしか関与しないものと考えられる.

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