日本畜産学会報
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反芻家畜におけるルーメン内繊毛虫構成の型別分布と虫種間の捕食拮抗について
今井 壮一勝野 正則扇元 敬司
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1979 年 50 巻 2 号 p. 79-87

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抄録

わが国の主要な反芻家畜であるウシ,ヒツジ,ヤギのルーメン内における繊毛虫構成パターンの型別について調査した.その結果,Polyplastron multivesiculatum, Diploplastron affineを特異種とするA型構成パターン,およびEpidinium spp., Eudiplodinium maggiiを特異種とするB型構成パターンに区別され,これらの各型には,各々に高率に出現する種も存在した.さらに,A,Bいずれの型にも属さず,Elylroplastron bubaliを優占種とする構成パターンも新たに見出され,これをK型と命名した.このような繊毛虫構成パターンの型別は,繊毛虫間の捕食拮抗によるものと考えられ,このことをinvitroによる捕食拮抗実験によって確かめたところ,P. multivesiculacumはEp. caudatumを選択的に捕食し,これが両種の共存しない要因であると考えられたが,Eu. maggiiは全く捕食されなかった.Ep. caudatumの選択的被捕食性は,繊毛虫体を20%ショ糖水溶液で分離し.食塩水で洗浄することにより失われた.

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