マウス,ラット,スナネズミおよびハムスターの胞状卵胞内の卵子に,板状または線維状の封入体が見られた.封入体はマウスでは線維状のものから成っており,数本ずつ束になって走っていた.ラット,スナネズミおよびハムスターでは板状であったが,ラットとスナネズミでは板が1枚ずつ積み重なっており,ハムスターでは2枚の板が1組となり,幾組も積み重なっていた.なお,スナネズミでは板が網目を構成している箇所もあった.ウサギとブタの卵子にはこのような封入体は認められなかった.封入体は四酸化オスミウムで単独固定した切片では全く観察されないかあるいは観察されても極めて不明瞭であったこと,電顕組織化学的手法によってアミノ基が証明されたことから,これらの封入体は主としてたん白質性のものであることが推察された.