抄録
白色レグホーン種の産卵鶏を牛脂,ラード,大豆油あるいはココヤシ油を10%配合した飼料で飼育し,人工授精をほどこした後,生産された有精卵を孵卵して,卵黄脂質がヒナの脂質におよぼす影響を調べた.孵化したヒナからは卵黄のうを分けとり,ヒナおよび卵黄のうからはそれぞれ脂質を抽出して,ヒナの脂質の脂肪酸組成を孵卵前の卵黄脂質ならびに卵黄のう脂質の脂肪酸組成と比較,検討した.飼料に配合した油脂によって,卵黄脂質の脂肪酸組成が変化するとともに,孵化したヒナの脂質も母鶏の飼料の影響をうけた.ヒナに残留した卵黄のう脂質は,孵卵前の卵黄脂質と脂肪酸組成での差異は小さいが,ヒナの脂質の脂肪酸組成は卵黄あるいは卵黄のう脂質の脂肪酸組成と,かなり異なっていた.一般にヒナの全脂質ならびに中性脂質は,孵卵前の卵黄脂質に比べてC16:0酸が多く,C16:1およびC18:1酸が少なかったが,リン脂質画分ではヒナの脂質は卵黄脂質や卵黄のう脂質よりもC18:1酸が少なかった.膵腺リパーゼ分解法によって,トリグリセリド内の脂肪酸分布を調べたところ,卵黄,ヒナならびに卵黄のうのトリグリセリドヂは,試験した各グループのいずれにおいても,C16:0およびC18:0酸はグリセロールの1-および3-位置に多く結合し,C18:1および18:2酸は2-位置に多く結合していた.したがって,ヒナのトリグジセリド内脂肪酸分布の模様は,卵黄ならびに卵黄のうのトリグリセリド内脂肪酸分布と本質的には同じであると見られた.