抄録
生後40週齢までの仔牛の加齢にともなうルーメン細菌に対する凝集素価の変動を検索した.その結果,供試したすべての仔牛血清中には,なんらかのルーメン細菌凝集抗体が存在した.いずれの凝集抗体価も4週齢から8週齢までの期間は不安定な免疫応答がみられた.とくに3週齢から4週齢にかけて,多くのルーメン細菌凝集抗体は消失した.仔牛の加齢にともなう血中凝集抗体価の消長よりルーメン細菌種の群別と関連性があることが想定され,ルーメン細菌種に対する宿主反芻動物の免疫応答を4パターンに分別する仮説を提唱した.A型-Selenomonas, Butyrivibrio, Succinivibrio, Succini-monasなどルーメン固有運動性わん曲型菌,Ruminococcus, Streptococcus bovisなどルーメン固有球菌,Propionibacteriumなど動物上皮由来菌などに対する安定持続的免疫応答パターン.B型-乳酸菌,ビフィダス菌などグラム陽性乳酸生成菌に対する低免疫応答パターン.C型-Bacteroidesなど動物腸管常在性非運動性グラム陰性嫌気性桿菌などに対する不安定的免疫応答パターン.D型-Clostridiumなど芽胞菌,Eubacteriumなどグラム陽性嫌気性桿菌に対する非免疫応答パターンである.また一方,加齢にともなう仔牛の血清タンパク量,グロブリン•アルブミン量および組成比についても検索した.この成績はルーメン細菌に対する凝集価の消長と類似の変動をしめした.さらに,仔牛の加齢にともなう免疫系の発達における免疫刺激因子としてのルーメン細菌の役割についても論議した.