抄録
著者らは,すでにStreptococcus lactisより2種の菌体内プロティナーゼを分画し,その理化学的性状について検討した.これらのうちの1種のプロティナーゼは,低温域に至適温度(6°C)を示し,チーズ熟成上興味ある酵素と考えられる.そこで今回,この低温域に最大活性を示すプロティナーゼの精製を試み,結晶化し,さらに,その性質の一部について検討した.Streptococcus lactis (IAM 1198)を,AMUNDSTADの培地に培養し,遠心分離して菌体を得た.菌体を乳鉢中で海砂とともに磨砕し,遠心分離後,上澄液は,超音波処理(20 KHz, 15min)を行ない,さらに,遠心分離(2,000×g,60min)して菌体内抽出物を得た.この菌体内抽出物を,硫酸プロタミンによる核酸除去,DEAE-セルロース,およびSephadex G-50カラムクロマトグラフイーによって精製し,凍結乾燥後,エタノールを含む少量の脱イオン水を加えて懸濁液とし,2°Cに静置し,結晶として単離した.菌体150gより10mgの結晶状プロティナーゼを得た.結晶酵素の比活性は,4.69U/mg proteinであり,菌体内抽出物の0.104U/mg proteinに比較して45倍の精製度で,ポリアクリルアミドゲル電気泳動的に単一蛋白であり,その分子量は,Sephadex G-200カラムクロマトグラフィーによれば,12,500であった.紫外部における最大吸収波長は,278nmに存在した.また,至適温度•pHについては,6°C•pH5.5であった.