抄録
1. 野生状態で生息している御崎馬について,1979年から1981年にかけて,繁殖シーズンの群行動及び血液型から群の種雄馬と子馬の父子関係について調査した.
2. 繁殖シーズンには,ほとんどの雌馬はそれぞれ特定の種雄馬と群を作り,その間はずっとその関係は変わることはなかった.年によって種雄馬を変える雌馬もいたが,大部分は毎年同じ種雄馬と群を作る傾向が強かった.
3. 血液型による22頭の子馬と8頭の種雄馬との父子判定の結果からは,父親の可能性のある種雄馬が1頭に絞られたものが9例,2頭に絞られたものが7例,3頭に絞られたものが1例,4頭に絞られたものが4例,5頭に絞られたものが1例であった.この結果に,種雄馬と母親の群行動の観察結果を加えて父子判定を行った結果,父親の可能性のある種雄馬が1頭に絞られたものが15例,2頭に絞られたものが4例,3頭に絞られたものが3例であった.
4. 子馬が生れる前年の繁殖シーズンに母親が群を作った種雄馬と,血液型及び鮮行動から判定した父親の可能性のある種雄馬との関係では,両者が一致したものが12例,群の種雄馬が父親の可能性のある種雄馬の中に含まれたものが6例,両者が一致しなかったものが3例,母親がどの種雄馬と群を作ったかが不明のものが1例であった.
5. この調査結果から,全般的には群の種雄馬がその群の中で生れた子馬の真の父親である可能性は極めて高いといえる.しかし,母親が特定の種雄馬と長期間に渡って安定した群を作っているにもかかわらず,その子馬の真の父親が全ったく別の群の種雄馬である可能性も否定できない.