日本畜産学会報
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反芻胃内繊毛虫の細胞外蛋白質分解酵素の性質
新地 修士神立 誠
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1983 年 54 巻 5 号 p. 290-296

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抄録

山羊の反芻胃液から,遠心分離法によって繊毛虫を集め,塩類溶液で培養した.培養後繊毛虫を除去した培養上清液から,硫安分画とゲル〓過によって繊毛虫の細胞外酵素を精製し,その性質について検討し次の結果をえた.i) 主な活性をもつ細胞外酵素の分子量は,38,000前後と推定される.ii) 蛋白質分解活性は,pH5.5,6.0および7.5の3点にピークをもつので,蛋白質分解酵素は,少なくとも3種類あることが推察される.iii) 蛋白質分解活性の最適温度は,60°C付近であった.しかし60°Cでは酵素の失活は大きかったが,40°Cではほとんど失活しなかった.iv) 酸化によって活性は低下するが,還元することにより活性は復活した.v) Fe2+は,活性に阻害的作用を及ぼし,EDTAよびEGTAも阻害的傾向を示したが,Ca2+,Mg2+およびPO43-は影響を及ぼさなかった.

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