日本畜産学会報
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ラット胎児に対する飼料エネルギーの利用効率-利用効率の推定値の信頼性-
斎藤 守高橋 正也
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1983 年 54 巻 6 号 p. 378-381

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抄録

飼料中代謝エネルギ(ME)の受胎生産物(胎児,胎盤,羊水および子宮)の維持と成長に対する利用効率を算出する方法,すなわち従来反芻家畜において用いられている重回帰式の係数から求める方法によって推定された値の信頼性について検討した.その方法は,エネルギー以外の栄養素が十分含まれる条件下で,飼料中MEの受胎生産物に対する利用効率を3段階(おおむね10,20および30%)に仮定して受胎生産物の生産に要するME量を求め,これを既に求めた維持のME量に加算したエネルギー量の飼料を調製して給与し,妊娠14または20日目に屠殺して,受胎生産物へ設定通りのエネルギー量が分配されているかどうか,さらに母体へのエネルギー蓄積量がゼロになるかどうかを指標として,飼料中MEの受胎生産物の維持と成長に対する利用効率を推定した.その結果,3つの異なる条件下における推定値は,23.2±2.4%(平均値±標準偏差)となった.この値と,前報において重回帰式の係数より求めた値(23.0±1.3%)との間には,有意差は認められなかった(P>0.05).このことより,従来,反芻家畜で用いられている飼料中MEの受胎生産物の維持と成長に対する利用効率の算出方法をラットに適用しても,その推定埴には,信頼性のあることが確認された.

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