日本畜産学会報
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体外成熟-体外受精マウス卵子の正常産子への発生について
湊 芳明豊田 裕
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1983 年 54 巻 6 号 p. 387-391

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抄録

体外成熟マウス卵子の発生能力について体外受精および受精卵移植によって検討し,さらに得られた産子の繁殖能力についても検討を加えた.5%牛胎児血清(FCS)および,10 i.u. PMSG/mlを添加した培地内で12時間培養して成熟分裂を誘起した体外成熟卵子を5% FCS添加培地内で受精させた結果338個の体外受精卵のうち,176個(52.1%)が2細胞期に発生した.このうちの130個を11匹の偽妊娠雌マウスの卵管に移植し,移植胚の12.3%に当る16匹(雄10匹,雌6匹)の生存産子が得られた.対照区(排卵卵子)の2細胞期への発生率は,基礎培地および5%FCS添加培地において,それぞれ94.4%(219/232)および81.0%(201/248)であり,これらの2細胞期胚の移植後の生存産子への発生率はそれぞれ38.7%(46/119)および14.0%(15/107)であった.移植によって生まれた子は,性成熟後の同腹子間のきょうだい交配によってすべての雌が正常に分娩し,分娩日齢および平均産子数ともに体外成熟卵子由来の個体と排卵卵子由来の個体との間に差が認められなかった.

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