大腰筋の筋線維型構成を品種間で比較検討した.組織化学的方法により,筋線維はI型とII型に区別された.I型筋線維は酸処理後のATPase活性に強い反応を示し,アルカリで前処理するとATPase活性がほとんど抑制された.II型筋線維はI型筋線維とまったく逆のATPase活性を示した.大腰筋を構成しているI型筋線維の割合は大ヨークシャー種で最も多く,デュロック種,ランドレース種,ハンプシャー種と続き,バークシャー種で最も少なかった.この結果を各品種の成豚時の体重と比較したとき,体重の重い品種でI型筋線維が多く,体重の軽い品種で少ないという傾向が示された.このことは,姿勢保持に重要な役割をもつI型筋線維と体重との間に機能的関係を示唆するものであろう.
筋東内におけるI型とII型筋線維の分布状態をJAMESの分離指数(Index of segregation)を用いて品種間で比較検討した.分離指数はバークシャー種と大ヨークシャ一種で高いことが観察された.この両品種は他の品種よりもI型筋線維の筋東内への集中度が高いものと判断された.これらの結果を筋線維の発育過程における筋線維型変換と関係づけて考察した.