日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
ランドレース豚の産肉形質の選抜の経過に伴う多型遺伝子頻度の推移
大石 孝雄神部 昌行三上 仁志西田 朗阿部 猛夫
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 54 巻 6 号 p. 409-417

詳細
抄録

わが国のランドレース豚の産肉形質の地域環境別選抜試験が,1971年から1978年まで,基礎世代から選抜第7世代までの8世代に渡って,岩手と宮崎両県で実施された.選抜形質として,1日平均増体重,背脂肪の厚さおよび同腹調査豚のロース断面積,ハムの割合がとり上げられ,選抜指数によって選抜淘汰が行われた.基礎集団は,同腹同性豚を1頭ずつ両県に分配することによって作られ,各世代は原則として雄12頭,雌60頭で構成された.岩手,宮崎両集団の選抜の経過に伴う遺伝的変化を追跡するため,赤血球抗原型7システム(A,E,F,G,H,K,L)と血清蛋白質型3システム(Pa,Hp,Am)の遺伝子頻度を調査した.赤血球酵素型と血清アロタイプについても,いくつかの世代で調査を実施した.その結果,岩手のA,Fシステム,宮崎のL,Hpシステムにおける選抜の経過に伴う遺伝子頻度の変化が,統計遺伝学的な分析などから顕著なものと推察された.またその他いくつかのシステムにおいて,基礎世代と選抜第7世代の遺伝子頻度に大きな違いがみられた.基礎世代と各選抜世代の10システム(赤血球抗原型,血清蛋白質型)の遺伝子頻度から計算された遺伝的距離係数は,両県とも世代の経過に伴って大きくなった.両県集団の各世代間の遺伝的距離係数は,基礎世代では非常に小さかったが,世代の経過とともに大きくなった.また両県の集団は,基礎世代を代では一般のランドレース種集団と近い遺伝的距離であったが,世代の経過とともに大き

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top