日本畜産学会報
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山羊卵巣の脂質に関する組織化学的観察
宮本 元眞鍋 昇石橋 武彦内海 恭三
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1984 年 55 巻 2 号 p. 101-106

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抄録

発情期,発情休止期,妊娠前期および胎児(妊娠後期)のトカラ山羊卵巣中の脂質を組織化学的に検出した.胎児卵巣では,原始卵胞の卵胞上皮に少量の細かい脂質滴が認められた.成熟山羊卵巣では,卵胞腔形成前卵胞の顆粒層細胞に少量の細かい脂質滴が存在し,卵胞膜には脂質滴は存在しなかった.卵胞腔形成後の胞状卵胞の顆粒層細胞と卵胞膜内層に少量ないし中等量の細かい脂質滴が存在し,一般に卵胞膜内層より顆粒層細胞の脂質量が多かった.閉鎖卵胞は正常卵胞に比べて,とくに顆粒層細胞の脂質量が増加した.発情休止期と妊娠初期の黄体細胞の細胞質にわずかな脂質が認められ,発情期に脂質が増加した.間質細胞に,少量ないし中等量の脂質滴が存在した.黄体に中等量のコレステロールとそのエステルが存在した.正常卵胞にはコレステロールとそのエステルは存在しなかったが,閉鎖卵胞の顆粒層細胞と卵胞膜内層に少量認められた.

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