日本畜産学会報
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異なる環境温度下におけるカドミウム中毒ラットの臓器中過酸化脂質値について
佐二木 順子福島 悦子
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1984 年 55 巻 2 号 p. 107-112

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抄録

カドミウムのひきおこすラットの精巣障害(出血性の炎症)に環境温度がどのような影響を及ぼすか検討するため,炎症のパラメーターと考えられている過酸化脂質の測定を臓器について行なった.
環境温度が高まると,CdCl2の投与いかんにかかわらず,すべての臓器中(肝,腎,精巣)の過酸化脂質値が増加した.とくに高温下(32°C)におけるCdCl2中毒ラットの精巣中過酸化脂質値は高値を示したが,コントロールラットの値も同様に高まっていた.
一方,カドミウム蓄積量は,すべての組織において,低温下(7°C)で最も高かった.
以上の実験結果から,カドミウム中毒精巣で観察された過酸化脂質値の増加は,直接CdCl2に起因するのではなく,環境温度の上昇によってひきおこされるものと推論される,この温度依存性のために,高温下においては,Cdによる精巣炎症がいっそう増強されるものと考えられる.

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