日本畜産学会報
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高温環境下における肉豚の生理反応と生産反応の関係について
山本 禎紀伊藤 敏男藤田 正範
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1984 年 55 巻 2 号 p. 71-75

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抄録

高温環境下(22°~32°C)における肉豚の生理•生産反応を,不断給餌下で測定し,生理反応を指標にした生産性のモニタリングの可能性を検討した.供試豚にはランドレース種雄去勢16頭を用い,試験期間は前期(開始時平均体重44kg,平均日齢101日)と後期(同71kg,140日)のそれぞれ3週間とし,日増体量(DG),日飼料摂取量(DFI),直腸温(RT),管部皮膚温(ST),呼吸数(RR)および心拍数(HR)を測定した.環境温度との相関は,いずれの生理•生産反応にも有意に認められた.温度上昇に伴うDGの減少率は,前,後期でそれぞれ46,55g/°C•日,DFIの減少率はそれぞれ103,141g/°C•日であった.RT, RR及びHRは,いずれもDFIに修飾され,27°Cから32°Cにかけての反応は,環境温度との関係だけでは説明できなかった.したがってRTやRRはモニター指標とはなり得ず,DFIが,もっともすぐれた指標であることを示した.RTやRRは,DFI等の条件を整えなければ,豚に作用する温熱環境条件を知る有効な指標になり得ないことを指摘した.

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