日本畜産学会報
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選抜指数に基づく継続的な選抜の効果を推定するための理論的モデル
西田 朗林 孝長嶺 慶隆
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1984 年 55 巻 5 号 p. 350-355

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抄録

先に発表した理論を拡張して,選抜指数による継続的な選抜の効果を推定する方法を明らかにした.理論に基づくシミュレーションにより,選抜指数を用いた継続的な選抜の効果を推定したところ,つぎのことが明らかになった.
1. 集団平均は選抜の世代が進むにつれて,選抜限界に漸近する型の反応曲線を示し,遺伝分散は世代とともに減少した.これらの変化のパターンは,-形質に対する選抜の結果と同様であった.2. 改良するために選抜指数式に含まれている形質間の基礎集団における遺伝相関は,すべて世代とともに-1.0に向かって変化した.また,形質間の遺伝的回帰は,いずれも,選抜により変化した.これらの結果は,-形質に対する選抜の結果とは異なるものであった.
今後,選抜された個体の遺伝的性質が,交配によってどのように変化して子に伝わるかを研究する必要がある.

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