日本畜産学会報
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ヤギ第一胃内への強制給餌が採食行動,反芻行動および生理諸元に及ぼす影響
大城 政一
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1985 年 56 巻 11 号 p. 866-871

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抄録
本実験はヤギを用い,一定時間内に採食する量と同一量を第一胃フィステルから強制給餌した場合,その後の採食量,反芻行動や生理諸元に及ぼす影響を,正常採食および絶食実験と比較し,口腔から採食することの意義について検討を加えたものである.実験は正常採食(6時間採食),第一強制給餌(最初の2時間を強制給餌),第二強制給餌(最初の4時間を強制給餌)および絶食の4実験を行なった.総採食量は3実験で1149±149g/日,総飲水量は4実験で2500±343ml/日の範囲にあった.咀嚼回数と時間および採食速度は採食開始により,正常採食実験,第一および第二強制給餌実験共に強制給餌の有無に関係なく同様な値を示した.また,強制給餌実験の反芻回数と時間は,絶食実験に近い値を示した.第一胃内温と直腸温は強制給餌により上昇を示したが,正常採食時よりは低い値であった.また,呼吸数と心拍数も強制給餌によって高い値を示したが,正常採食時よりは常に一定の低い値を示した.これらの結果は強制餌された飼料と,口腔から摂取された飼料とは,咀嚼行為の有無によって生体に与える生理的影響が異なることを示すものである.
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