日本畜産学会報
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黒毛和種産肉能力検定間接法の成績に関する遺伝率および遺伝ならびに表型相関係数の推定
楊 茂成向井 文雄佐々木 義之
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1985 年 56 巻 3 号 p. 193-198

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抄録

1977年から1981年までの5年間に全国15ヵ所の産肉能力検定場などで実施された黒毛和種産肉能力検定間接法の成績を用いて,産肉形質の遺伝率および遺伝ならびに表型相関係数を推定した.材料は208頭の種雄牛の後代牛(去勢牛)1,684頭の記録である.計算はHARVEYの最小自乗分散分析用プログラムLSML76(1977)によって行ない,分析に取り上げた要因は年次-検定場および年次-検定場内種雄牛および検定開始時日齢への回帰であった.得られた結果の概要はつぎのとおりである.1.年次-検定場および年次-検定場内種雄年間の変動は終了時等級を除く,すべての形質で高度の有意性が認められた.2. 1日平均増体量,終了時体重,ロース芯脂肪交雑,枝肉規格に対して,検定開始時日齢の影響が一次回帰で有意であった.一方,終了時体高および枝肉重量に対しては2次回帰に有意性(P<0.05)が認められた.3. 産肉形質の遺伝率は1日平均増体量0,59,枝肉歩留1.22,終了時体重0.53,終了時体高0.76,終了時等級0.50,枝肉重量0.61,背皮下脂肪厚1.15,ロース芯脂肪交雑0.40,ロース芯面積0.94,枝肉規格0.37であった.4. 1日平均増体量と終了時体重および枝肉重量との遺伝相関はそれぞれ0.85,0.78と高かった.しかし1日平均増体量とロース芯脂肪交雑および枝肉規格との間の遺伝相関はそれぞれ0.05,0.15と低かった.ロース芯面積と1日平均増体量との遺伝ならびに表型相関はそらぞれ0.35,0.30であり,中程度であった.また,ロース芯脂肪交雑と枝肉規格との間の遺伝相関および表型相関はそれぞれ0.97,0.77ときわめて高かった.

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