日本畜産学会報
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めん羊のルーメン内硝酸代謝および血中メトヘモグロビン形成に及ぼす水素供与体の影響
中村 豊吉田 條二中村 亮八郎
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1985 年 56 巻 5 号 p. 379-383

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抄録

水素供与体併用による硝酸中毒防止の可能性を追求するため,乳酸•ギ酸塩の投与がルーメン内硝酸,亜硝酸の消失速度並びに血中MHb形成量に及ぼす影響を検討した.硝酸塩を体重1kg当り0.35または0.40g(3.5または4.0m mol),あるいはこれに水素供与体(硝酸塩の4倍モル)を併用して投与したところ,その併用によってルーメン内硝酸,亜硝酸の消失がかなり促進された.また,血中MHbは,KNO3単用の場合,投与後増加し,2~4時間後に最高値(22~34%)となり,これ以後減少したが,8時間後でも投与前の値にもどらなかった。水素供与体併用の場合は,KNO3単用にくらべ,MHbの最高値(10~16%)が低く,その減少もすみやかであり,また平常値に復するのも速い傾向が示された.なお,KNO3単用ではどの動物においても貧血様症状などが認められたが,水素供与体併用の場合は,外観上,ほとんど異常は認められないか,あるいは認められたとしても回復が速かった.以上の結果から,乳酸•ギ酸塩の併用によって中毒の危険性をかなり低下し得ると推定された.

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