日本畜産学会報
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肉牛における短期間の制限哺乳が母牛の繁殖機能と子牛の発育に及ぼす影響
鈴木 修佐藤 匡美
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1985 年 56 巻 5 号 p. 384-390

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抄録

黒毛和種母子牛31組を用い,短期間の1日1回制限哺乳が母牛の繁殖機能,泌乳性ならびに子牛の発育に及ぼす影響を検討した.分娩後4~14日目の間を制限哺乳した区(11頭)では,分娩後15~28日目の間を制限哺乳した区(10頭)および分娩後90日目まで通して自然哺乳した対照区(10頭)に比べて分娩後早い時期での卵胞発育が認められたが,この制限哺乳期間中での排卵はなく,自然哺乳にもどした次の2週間に11頭中6頭(54.5%)で初回排卵が起こった.しかし,残りの牛の初回排卵は遅れ,ばらつきが大きくなった.一方,分娩後15~28日目の間を割限哺乳した区では,この制限哺乳期間中に初回排卵が10頭中7頭(70.0%)と集中して起こる傾向がみられ,分娩から初回排卵および初回発情までの日数が対照区に比べて有意に短縮した(P<0.05).また分娩から受胎までの日数については,制限哺乳を組み入れた区で良好な成績が得られた。分娩後3か月間の平均日哺乳量と子牛の平均日増体量は対照区がともに優れていたが,区間に有意な差は認められなかった.これらの結果から,分娩後15日目から2週間程度の1日1回制限哺乳によって,母牛の泌乳性や子牛の発育には大きな影響を与えることなく,分娩後の繁殖機能回復を著しく促進させ得ることが示唆された.

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