1985 年 56 巻 5 号 p. 399-406
ウシ(BSP),ヤギ(GSP),ブタ精漿(PSP)およびウシ卵胞液(BFF)中のインヒビン様活性を,in vitro(マウス下垂体インキュベーション法)およびin vivo(マウス子宮重量法)の2つのアッセイを用いて比較検討した.これら4つの試料の粗蛋白質は,in vitroアッセイではLH-RH添加による下垂体からのFSH放出を抑制し,in vivoアッセイではhCGで刺激されたマウスの子宮重量の増加を抑制した.4つの試料は,この2種のアッセイにおいていずれも投与量に比例した抑制活性を示した.しかし,in vivoアッセイにおいて,PSPだけは他の試料に比べて弱い活性を示した.限外〓過による分画をin vitroアッセイにより調べたところ,BSP,GSP, PSPおよびBFFの分子10,000-30,000の分画にインヒビン様活性が認められた.また,GSPとBFFの5,000-10,000およびBFFの50,000以上の分画にも弱い活性が見いだされた.4つの試料の活性は熱処理(100°C,5分間)により消失した.これらの結果から,BSP, GSP, PSPおよびBFF中はこは同様のインヒビン様活性が存在し,その活性物質はおもに限外〓過による分子量10,000-30,000の分画に存在することが明らかとなった.