日本畜産学会報
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ヒナの成長および血清遊離アミノ酸濃度に及ぼす飼料の硫酸塩の影響
氷上 雄三帖地 孝人長谷川 信水野 利雄
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1985 年 56 巻 5 号 p. 391-398

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抄録

ヒナの成長,血清•肝の成分,血清遊離アミノ酸濃度および肝のトランスアミナーゼ活性に及ぼす硫酸塩添加の影響を調べた.分離大豆蛋白質を唯一の蛋由質源とする半精製飼料にDL-メチオニンまたは硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加して,ヒナを28日齢まで飼育した.メチオニンを0.44%添加した区とメチオニン0.22%+Na2SO40.22%を添加した区とで,体重に差が認められなかった.Na2SO4を0.44%添加した区とNa2SO4を0.88%添加した区との間に体重の差はなく,この両区はメチオニンを添加した区の約60%の体重を示した.飼料に含まれるメチオニンの低下およびNa2SO4の増加によって,血清および肝の総窒素量は減少し,総脂質量は増加する傾向が見られた.肝のグリコーゲン量および血糖値は飼料中のメチオニンまたはNa2SO4の影響を受けなかった.血清遊離アミノ酸濃度は飼料中のメチオニンの低下およびNa2SO4の増加につれて次のとおり3つの型の変動を示した.1) 減少するもの:メチオニン,シスチン,アスパラギン酸,ロイシン,チロシン,ヒスチジン,アルギニン,2) 増加するもの:スレオニン,セリン,グリシン,リジン,3) 変動しないもの:グルタミン酸,プロリン,アラニン,パリン,イソロイシン,フェニルアラニン,オルニチン.肝のGlutamate-oxaloacetate transaminase活性は飼料のメチオニンの減少およびNa2SO4の増加によって上昇したが,Glutamate-pyruvate transaminaseはその影響を受けなかった.

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