日本畜産学会報
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振動モデルによる泌乳曲線の解析
林 孝長嶺 慶隆西田 朗
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1986 年 57 巻 6 号 p. 471-478

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抄録

乳牛の泌乳曲線を解析するために振動方程式を変形した振動モデルを導入した.y=b(e-t/c-e-t/ac)ここでyは分娩後t日の乳量を表す.このモデルには,a,bおよびcの3個のパラメータが含まれ,それぞれ乳量の立上り,尺度あるいは最高乳量,および泌乳期間に関するパラメータであると解釈された.このモデルとWOOD1)の実験式を毎日の搾乳記録および毎週の体重記録のある32例について逐次法により当てはめた.このモデルの適合度はWOOD1)の実験式とほぼ同じであり,その曲線の形状もよく似ていた.さらにこのモデルのパラメータと繁殖成績,WOOD1)の実験式のパラメータおよび分娩前後の体重変化量などとの関係を検討し,パラメータの生物学的解釈を試みた.振動モデルのパラメータは各々独立ではなく相互に関連し,特にcはaの非線形関数と判断されたことから,乳量の立上りが泌乳期間に影響することが予想され,またパラメータbは個体に固有の形質であることが示唆された.パラメータcは繁殖機能と深く関連していることも明らかになった.

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