日本畜産学会報
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換気方式の異なる牛舎における冬季の舎内気温が泌乳牛の生産反応と生理反応に及ぼす影響
四十万谷 吉郎古郡 浩安藤 哲片山 秀策
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1986 年 57 巻 6 号 p. 479-484

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抄録

無断熱自然換気牛舎(自然区)と断熱機械換気牛舎(断熱区)の冬季間における牛舎内気温が,乳牛の生産反応と生理反応に及ぼす影響を検討した.供試牛はホルスタイン種経産牛6頭であり,3頭ずつ2群に分け,1期2週間の反転法により実験を行なった.配合飼料は脂肪補正乳量の1/3量を給与し,コーンサイレージと乾草は不断給餌とした.室内日平均気温の平均値は自然区が-1.8°Cであり,外気温に大きく影響されたが,断熱区では設定温度の10°Cをほぼ維持していた.サイレージと乾草摂取量は自然区が断熱区より有意に多かったが,乳量,脂肪補正乳量,固形分補正乳量は両区間に差がなく,牛乳生産粗効率は自然区が断熱区より低かった.全固形分率,無脂固形分率,乳蛋白質率は自然区が断熱区より高い傾向を認めた.自然区においては断熱区より牛の呼吸は深く遅かったが,熱発生量は両区間に差がなかった.血漿中グルコース濃度と遊離脂肪酸濃度も両区間に差がなかった.これらの結果から,舎外の日平均気温の平均値が-6°C程度の地域においても,粗飼料摂取量が増加するものの,搾乳牛舎に窓からの入気と棟頂部からの換気を行なう無断熱の自然換気方式を採用することの可能性が示唆された.

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