日本畜産学会報
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高精度分染法による山羊の染色体分析
津田 新哉小谷 政晴島岡 達朗田中 一栄
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1988 年 59 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

反芻家畜である山羊を用いて高精度Gバンド分染像の詳細な核型分析を行ない,その有効性について検討した結果,以下のことが認められた.すなわち,1) 中期染色体と高精度Gバンド分染法による染色体の比較を行なったところ,明らかに分染上の差が認められ,ハプロイドセットあたりの全バンド数がmid metaphaseにおいては206バンド,early metaphaseでは269バンド,そしてpro metaphaseにおいては353バンド認められた.2) 各stageにおける染色体長の伸長率を測定し,mid metaphaseを100%とした場合early metaphaseにおいては平均141%,prometaphaseにおいては平均156%であった.3) バンド構成の変化については特にNo. 1,7およびX染色体で明りょうに観察され,バンドの細分化の過程が明確に認められた.4) late prophaseにおける染色体像は全体的に明りょうではなかった.以上のことから高精度Gバンド分染像は中期染色体分染像より明確な核型が得られ,染色体の同定ならびに染色体を用いた遺伝的分析には非常に有効であると考えた.

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