日本畜産学会報
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ゴーダタイプチーズ中に存在する至適pH6.0のプロティナーゼの精製と性質
井越 敬司上野川 修一山内 邦男
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1988 年 59 巻 1 号 p. 82-92

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抄録

ゴーダタイプチーズ熟成中の蛋白質分解に関与するプロティナーゼをDEAE-セルロースクロマトグラフィーおよびセファデックスG-150クロマトグラフィーにて,ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で単一なバンドを示すまで精製した.本酵素の至適pHは6.0,至適温度は3°,また分子量はおよそ230,000であった.この酵素はDEPおよびPMSFによって強く阻害されるところからセリンプロテアーゼと推定された。また,Co++およびMn++によって賦活化され,EDTA,o-フェナンスロリによって阻害されることから活性発現に金属イオンの関与が考えられた。本酵素はカゼイン成分のうち,β-カゼインを最もよく分解したが,βs1カゼインにはほとんど作用しなかった,β-カゼインからの分解産物は本酵素抽出のたあに使用されたチーズ中のカゼインの分解産物とPAGEにおいて一致した.従って,本酵素はゴーダタイプチ-ズ熟成中の蛋白質分解に寄与していると考えられた.

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