日本畜産学会報
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マウスにおける前核置換成績におよぼす細胞骨格系阻害剤の処置条件の検討
角田 幸生塩田 ゆみ河野 友宏
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1988 年 59 巻 3 号 p. 241-246

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抄録

本研究では,細胞骨格系阻害剤であるサイトカラシン(CB)およびコルセミドの処置条件が,マウス前核の置換成績におよぼす影響を検討するため3種の実験を行なった.実験1では,CB(5μg/ml),コルセミド(0.1μg/ml)あるいはCB+コルセミドによりそれぞれ15分間前培養した2種類の前核期受精卵間または無処置の受精卵間で前核の置換を行ない,前核除去率,置換成功率,融合率および置換卵の発生率におよぼす影響を調べた.その結果,高い置換率(95%)ならびに置換卵の胚盤胞への発生率(66%)を得るためには,CBおよびコルセミドで供試卵を前培養する必要性が明らかとなった.また,顕微操作を行なわない前核期卵をCBおよびコルセミドで3時間前培養しても,1部の例外を除き胚盤胞への発生率は低芋しない(実験2)が,これらの卵子間で前核置換を行なうと胚盤胞への発生率(53%)は15分間前培養後実施した場合(74および79%)にくらべて有意に低下する(実験3)ことが知られた.

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