日本畜産学会報
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ヤギにおける飼料中アミノ酸のみかけの消化率に及ぼすルーメンプロトゾアの影響
松本 光人小林 剛板橋 久雄
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1989 年 60 巻 11 号 p. 987-992

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抄録

飼料中アミノ酸のみかけの消化率に及ぼすルーメンプロトゾアの影響を6頭のヤギ(3頭はプロトゾア不在,3頭はプロトゾア存在)をもちいて検討した.試験Iでは乾草ウエハーのみを与え,試験IIでは乾草ウエハーと濃厚飼料を与え,全糞採取法による消化試験を実施した.その結果,プロトゾアはCP消化率を高め,糞中のアミノ酸量(mg/g-N)を低下させる傾向が示された.試験IではMet, Phe,試験IIではTyr濃度が有意(p<0.05)に低下した.試験I, IIともに全てのアミノ酸のみかけの消化率はプロトゾアの存在によって高められた.プロトゾア不在によるCP消化率の低下は糞中へのアミノ酸排泄の増加を伴うことが確認された.この原因として,下部消化管へのアミノ酸流下量の増加,プロトゾアと細菌蛋白質の消化率の差などが考えられた.試験I, IIともに,ルーメン微生物体蛋白質より濃度が高い飼料中アミノ酸のみかけの消化率は高く,逆の場合には低くなる傾向が示された.

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