日本畜産学会報
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生体情報ロガーを用いた牛の体温測定と時系列分析
柏村 文郎新出 陽三
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1990 年 61 巻 10 号 p. 869-875

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抄録

牛の体温を長期間連続して収録する方法として,携帯用の生体情報ロガーの利用法と信頼性を検討した.さらに得られた時系列データから,体温変動の特徴を解析するため,スペクトル分析を中心とした統計的分析手法の応用を試みた.
ホルスタイン種乾乳牛1頭の体温(腟温)を,2分間隔で96日間連続して測定した.飼養場所は,牛舎内分娩房(51日間)および環境調節室(45日間)であった.環境調節室では,環境温度を終日23°Cの定温期と,1日の室温を33°Cおよび13°Cの2段階に変化させた変温期を設けた.
得られた結果は次の通りである.1. 生体情報ロガーの体温データを高感度温度計と比較し,その信頼性が確認された.2. 体温の上昇および下降は,通常60分以上の周期で起こり,スペクトル分析のためのサンプリング間隔は,30分に1回程度でもよいことが判明した.3. 体温のスペクトル分析の結果,体温のリズムは,概日リズムと給飼によるリズム,さらに120分から480分の周期を持つ超日リズムからなることが分った.4. 異常体温を発見をするためには,一日の体温測定時刻を一定にする必要があり,また体温を連続的に測定した場合,数時間の体温を平均することにより体温変化の特徴がとらえやすくなった.

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