日本畜産学会報
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ブラーマン種雄×黒毛和種,日本短角種およびホルスタイン種雌の交雑F1子牛の成長について
山岸 敏宏鈴木 英作太田 実篠原 久八巻 邦次水間 豊
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1990 年 61 巻 10 号 p. 876-882

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抄録

ブラーマン種(Z)雄と黒毛和種(B),日本短角種(N)およびホルスタイン種(H)雌との交雑F1と純粋種子牛の成長形質が放牧飼養条件の下で比較された.供試牛はBB 57頭,NN 27頭およびZ種精液を3品種に人工授精して作出した交雑種子牛26頭である.生時,3,7,12および18ヵ月齢体重にはすべて交配グループ間で顕著な差異がみられた(P<0.01).生時体重においてZB,ZNおよびZHは対応する母牛品種の純粋種子牛よりもそれぞれ5.0,10.4および11.8kg重かった.それ以降,すべての交雑種子牛は旺盛な成長を示し,18ヵ月齢体重においてもZBはBBよりも,またZNはNNよりもそれぞれ47および46kg重かった.生時~3,3~7および7~12ヵ月齢の1日平均増体重には交配グループ間でそれぞれ有意差が認められた(P<0.05,P<0.01,P<0.01).純粋種に対する交雑種子牛の1日平均増体量の増加率は,ZBとZNの間で異なった変化を示し,生時~3ヵ月齢においてZBでは-3%であったのに対してZNでは19%と大きな値を示した.これは両母牛品種間の泌乳能力の差を反映した結果と考えられた.体高はBBよりもZBが,NNよりもZNが雌牛(約33ヵ齢)においてそれぞれ6.8および4.8cm,さらに出荷時の去勢肥育牛ではそれぞれ5.9および6.4cm高かった.以上の結果は,Z種の遺伝子のわが国肉用牛への導入が成長能力を高める上で有効であることを示している.

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