日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
逆性石鹸4剤の活性汚泥に対する影響
柿市 徳英松井 睦子鎌田 信一小峯 健一伊藤 整林 正利大塚 宏治内田 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 61 巻 10 号 p. 924-930

詳細
抄録

前処理豚糞を供試汚水とし,畜舎消毒剤である逆性石鹸の活性汚泥に対する影響を調査した.供試消 毒剤は,benzalkonium chloride (A), benzethonium chloride (B), didecyl dimethyl ammonium chloride (C)およびmethyl dodecyl benzyl trimethyl ammonium chlorideと methyl dodecyl xylilene trimethyl ammonium chlorideの等量合剤(D)の4剤である.調査項目としては処理水のCODと透視度,MLSS増加率および微小動物相とした.その結果,処理水のCODあるいは透視度を悪化させたA, B, CおよびD剤の限界濃度はそれぞれ5,5,2および5mg/lであった.MLSS増加率を低下させた限界濃度はそれぞれ5,5,5および2mg/lであった.また,A, B, CおよびD剤が微小動物に顕著な阻害を与えた濃度は,それぞれ5,2,5および5mg/lであった.一方,これらの消毒剤に高い感受性を示した主な生物は,Aspidisca, VorticellaおよびTrachelophyllumであり,逆に,Operculariaは耐性を示した.以上より,活性汚泥に対する安全性はA剤が最も高く,次いでB,C,およびD剤が同程度であった.また,活性汚泥の処理効率の低下を防止するためのA, B, CおよびD剤の濃度は少なくとも,それぞれ5,2,2および2mg/l/day未満が示唆された.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top