日本畜産学会報
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脂肪酸カルシウムおよび酢酸ナトリウムの給与が乳量,乳成分および乳脂肪酸組成に与える影響
相井 孝允栗原 光規久米 新一冨田 守早澤 宏紀
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1990 年 61 巻 10 号 p. 931-936

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抄録

実験1(4頭)では,大豆油から調製した脂肪酸カルシウム(220g/頭•日)および酢酸ナトリウム(280g/頭•日)を飼料添加物として搾乳牛に給与したとき,その給与が乳量,乳成分および乳脂肪酸組成に与える影響を調査し,実験2(6頭)では,パーム油の脂肪酸カルシウム(220g/頭•日)および酢酸ナトリウム(280g/頭•日)の給与が上記調査項目並びに呼吸数および体温に与える影響を調査した,実験1は3~4月に実施し,実験2は高温時の7~8月に実施した.搾乳牛に一般慣行飼料に加えて,反転法に基づき飼料添加物を給与したところ,実験1および2とも乳量には有意な影響が認められなかったが,乳脂肪率および乳脂肪生産量は,それぞれ0.40および0.23%並びに91および62g/日増加した.またC4-C14グループの生産量は飼料添加物給与により有意に変化しなかったが,C16グループの生産量はかなり増加し(実験2,p<0.01),そしてC18グループの生産量は実験1および2でそれぞれ68および37g増加した(p<0.05).すなわち給与した飼料添加物のうち,かなりの量が乳脂肪の長鎖脂肪酸の中に取り込まれたことが示唆された.実験2において,本飼料添加物の給与が乳牛の呼吸数および体温には影響を与えたとは認められなかった.

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