日本畜産学会報
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シアル酸(N-アセチルノイラミン酸)の工業的製造原料としてすぐれたカラザおよび卵黄膜
伊藤 敞敏棟方 公生足立 達八田 一中村 武嗣加藤 隆金 武祚
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1990 年 61 巻 3 号 p. 277-282

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抄録

シアル酸は生化学的試薬として,また医薬品製造のために近年需要が急増しているが,現在その製造のための原料はッバメの巣など限られたものとなっている.そこで,卵処理工場において卵成分の濾過の際に得られるカラザおよび卵黄膜より,工業的規模でシァル酸を製造することを検討した.
これらの画分には,シアル酸としてN-アセチルノイラミン酸のみが高濃度で含まれており,酸分解,イオン交換クロマトグラフィー,活性炭処理などののち,湿カラザ試料100gより約50mg,湿卵黄膜試料より約175mgのN-アセチルノイラミン酸が得られた.純度はいずれも95%以上であった.
卵は世界的に広く分布した食品であり,卵処理工場で得られるカラザおよび卵黄膜部は従来は利用されず廃棄されていた部分である.従って,これらはシアル酸の大量かっ安価な製造のための非常に有望な原料となりうることが判明した.

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