日本畜産学会報
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単飼人工哺乳子牛の行動特徴
佐藤 衆介黒田 耕作
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1993 年 64 巻 6 号 p. 593-598

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抄録

単飼人工哺乳方式の行動学的評価を目的とし,13頭の人工哺乳子牛の行動を6頭の自然哺乳子牛の行動と比較した.人工哺乳子牛を生後直ちに母牛から離し,単飼ペンで飼育した.30日齢まで1日2回のバケツによる哺乳を行ない,乾草と人工乳を1週齢から自由摂取させた.自然哺乳子牛は,母牛とともに9時から15時まで,多用な環境を持つ放牧地に時間制限放牧された.放牧後,解放牛舎に戻し,人工乳を不断給餌した.人工哺乳子牛では24時間の行動を,自然哺乳子牛では9時から15時までの6時間の行動を,10日齢および30日齢に1分間隔で記録した.人工哺乳子牛は,単飼のため社会行動が制限されたが,自然哺乳子牛ではみられなかった隣接子牛との吸合いや柵,紐などを吸引する行動が出現した.人工哺乳子牛では,自然哺乳子牛に比べ,横臥,反すう,自己舐行動が多く,吸乳行動,探索行動,移動が少なかった.人工哺乳子牛における,横臥,反すう,自己舐行動の増加および非栄養的な吸引行動の出現は,社会行動,吸乳行動,移動および探索行動の抑制に伴う欲求不満に由来するものと考えられた.

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