日本畜産学会報
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6種類のウシ蛋白質に対する抗体産生に及ぼすウズラの系統間差
大谷 元松本 克之水谷 誠
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1993 年 64 巻 8 号 p. 847-854

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抄録

分子量の異なる6種類のウシ蛋白質に対する7系統のウズラの抗体の生産性を調べ,各蛋白質に対する抗体産生の系統間の比較と,各系統内での6種類のウシ蛋白質の抗原としての強さの比較を行なった.7日間隔で6回免疫後のIgG,αs1-カゼイン,β-ラクトグロブリンおよびα-ラクトアルブミンの4種類の蛋白質に対する抗体産生はPNNが他の6系統よりも,また,血清アルブミンに対する抗体産生はPNNがTKPH以外の他の5系統よりも統計的に有意に高かった(P⟨0.05).しかし,インスリンに対してはPSNがSBPN以外の他の5系統より統計的に有意に高い(P⟨0.05)抗体産生を示した.一方,各系統のウズラにおける6種類のウシ蛋白質の抗原としての強さの比較では,TKPHとRWLfの2系統ではIgGが他の蛋白質よりも統計的に有意に高い抗体産生を示し(P⟨0.05), PNN, AMRPおよびSBPNもIgGに対して高い抗体産生を示す傾向が見られた.しかし,PSNとTKPLでは抗原の違いにより産生される抗体量の統計的有意差はほとんど見られなかった.また,SBPNにおいて標準偏差が大きいために統計的有意差は見られなかったが,抗体価の平均値ではインスリンに対する値がα-ラクトアルプミン,β-ラクトグロブリンおよび血清アルブミンのそれらよりも明らかに高く,TKPHとAMRPではインスリンに対する抗体はほとんど産生されなかった.これらの結果より,分子量の異なるウシ蛋白質に対するウズラの抗体産生能はウズラの系統により異なることや,インスリンのような低分子量蛋白質に対しては抗体を産生する系統と抗体をほとんど産生しない系統が存在することが明らかになった.

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