日本畜産学会報
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搾乳牛の循環リポ蛋白と甲状腺ホルモンに見られる秋季と夏季の差異
藤田 正範原田 佳積山城 英和窪田 浩和山本 禎紀
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1996 年 67 巻 6 号 p. 519-525

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抄録

夏季の暑熱環境下に認められる低脂肪乳の発生機構の理解を深めるために,秋季と夏季の明期12時間にわたって搾乳牛の血中高密度リポ蛋白(HDL),低密度リポ蛋白(LDL)および甲状腺ホルモン(T3, T4)濃度を観察した.TDN摂取量と泌乳量は秋季と夏季で同様であったが,乳脂率と乳脂肪生産量は夏季に減少する傾向を示した.秋季にHDLとLDL濃度は夏季よりも有意(P<0.01, P<0.01)に高かった.秋季にHDL濃度は飼料摂取開始後に低下の傾向を示し,LDL濃度は増加の傾向を示したが,夏季にはこのような変化は認められなかった.秋季にT3濃度は夏季よりも有意(P<0.01)に高く,また,T3濃度は飼料摂取開始後に有意(P<0.01)に増加したが,夏季にはこのような変化は認められなかった.以上の結果,秋季にはT3濃度の増加に示される代謝活性の高まりの中でリポ蛋白代謝は昂進するのに対して,夏季にはリポ蛋白代謝は抑制され低脂肪乳が発生するものと考えられた.

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