日本畜産学会報
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メチオニンおよびシスチンがニワトリヒナの血清と肝臓コレステロール濃度に及ぼす影響
上田 博史福井 亘
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1996 年 67 巻 6 号 p. 533-540

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抄録

メチオニンとその代謝産物,あるいは関連物質がニワトリヒナの血清および肝臓コレステロール濃度に及ぼす影響を調べた.7日齢の単冠白色レグホン雄ヒナを用い,8から10日間の飼育試験を3回行った.タンパク質源として分離大豆タンパク質とカゼイン(アルギニンとグリシンを補足)を用い,すべての飼料に1%のコレステロールを添加した.分離大豆タンパク質飼料のタンパク質含量を14%(S14飼料)から20%(S20飼料)に増加すると,血清および肝臓コレステロール濃度は低下した.S14およびS20飼料に0.21%あるいは0.3%のメチオニンを添加すると血清コレステロール濃度は減少した.しかし,肝臓コレステロール濃度は影響を受けなかった.カゼイン飼料を給与した場合もタンパク質含量の増加で血清および肝臓コレステロール濃度は減少したが,メチオニン添加の影響はみられなかった(試験1).ホモシスチンとN-アセチルメチオニンをS14飼料に添加すると,メチオニンと同様に発育を促進し血清コレステロール濃度を減少させた.発育促進効果は認められなかったが,シスチンも血清コレステロール降下作用を示した.ホモセリン,タウリン,塩化コリンおよび硫酸カリウムの添加は発育および血清コレステロール濃度に影響を及ぼさなかった(試験2).0.3%のメチオニンを補足したS20飼料にさらにメチオニンを0.6%および1.2%添加しても血清コレステロール濃度に変動はなかった.いっぽう,1.2%および2.4%のシスチン添加は血清コレステロール濃度を低下させる傾向を示した(試験3).カゼインと比較して,分離大豆タンパク質はシスチンを多く含むが,シスチン含量の差は必ずしも血清コレステロール濃度に反映されなかった(試1).以上の結果から,メチオニンとシスチンがコレステロール代謝に及ぼす影響は小さいものと推察された.

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