日本畜産学会報
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同週齢あるいは出荷週齢時における比内地鶏とブロイラーの胸肉の水分,タンパク質,脂質,灰分,アミノ酸,無機質および脂肪酸の比較
藤村 忍古賀 秀徳竹田 弘美利根 尚子門脇 基二石橋 晃
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1996 年 67 巻 6 号 p. 541-548

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抄録

比内地鶏は,古くから美味しい鶏とされてきた.そして官能試験によってもその味がブロイラー肉に有意に優ることが確認された.そこで本研究においては比内鶏肉の味に影響する成分を明らかにするために,肉の一般成分つまり水分,タンパク質,脂質,灰分を分析するとともに,アミノ酸,無機質,脂肪酸に注目し,出荷適期の鶏種間での比較検討を行った.供試鶏は,8週齢のブロイラーとそれと同週齢ならびに出荷適期の18週齢比内地鶏とし,それぞれの栄養要求量に則した配合飼料を給与して育成した.成分分析には浅胸筋を供試した.その結果,出荷期の週齢の比内地鶏肉はブロイラーに比較して水分含量が1.2%少なく,タンパク質含量が0.7%多かった.脂質,灰分には差は認められなかった.アミノ酸組成にも差は認められなかった.無機質においては,リン,マグネシウムはブロイラーよりも比内地鶏肉が多かったが,前報においてカリウムイオンが呈味有効成分と認められたが,カリウム含量に鶏種間差は見られなかった.脂肪酸は9成分を検出したが,両種とも8週齢時において差は認められなかった,18週齢の比内鶏においてはリノール酸,リノレイン酸,ミリスチン酸,ミリストレイン酸,ステアリン酸に差が見られたものの,加齢によって各脂肪酸バランスの変動は見られず,8から18週齢にかけて比内地鶏に特異的な脂肪酸は認められなかった.これらの成分の差の有無や差の程度を検討したところ,上記の分析した成分の中で比内地鶏とブロイラー肉の味の差に明確に影響する成分は特定されなかった.

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