日本畜産学会報
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ニホンジカの枝肉成績並びに枝肉の一般成分と脂質性状
石田 光晴池田 昭七武田 武雄
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1996 年 67 巻 6 号 p. 567-573

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抄録

ニホンジカの産肉性および成分的肉質を明らかにするために,ニホンジカ去勢雄3頭(平均27ヵ月齢),雌3頭(平均26ヵ月齢)の枝肉成績および精肉(カタ,ロース,ヒレ,モモ,バラ)と心臓,肝臓の一般成分を調べた.同時に,同部位の脂質と蓄積脂肪(皮下,大網膜,腎臓周囲,筋肉間)の融点および脂肪酸組成を測定した.と畜したニホンジカの生体重と枝肉重量は,それぞれ去勢雄が平均約66kg,約42kg,および雌は約50kg,約30kgであった.全頭とも枝肉歩留はほぼ60%,正肉率64%前後であった.精肉のpHは,5.56-5.76を示した.一般成分では,水分はバラを除いた全ての部位で70%以上となり,雌雄間,部位間の差はほとんどなかった.粗タンパク質も部位や雌雄による差は認められず,全部位が20%前後であった.粗脂肪はバラの約30%を除き2-5%であり,粗灰分は部位間および雌雄間に差はみられず,0.8-1.4%であった.筋肉脂質の融点は39-42°,蓄積脂肪は45-51°であった.筋肉内と内臓や蓄積脂肪の間には大きな差があったが,部位間ではほとんど差がなかった.脂肪酸組成は,他の家畜と同様に,パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸およびリノール酸の割合が90%以上を占めた.

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