日本畜産学会報
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茶サポニン,コレステロールおよびオイルの給与がヒナの発育と飼料の消化管通過速度に及ぼす影響
上田 博史重水 元
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1998 年 69 巻 1 号 p. 14-21

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抄録

茶サポニン,コレステロールおよびオイルの給与が単冠白色レグホン雄ヒナの発育と飼料の消化管通過速度に及ぼす影響を調べた.試験1および2では7日齢のヒナを用いて10日間の飼育試験を行った.試験3および4には3週齢のヒナを供試した.試験1では0.25から1.0%のサポニンを基礎飼料に添加した.飼料摂取量と発育はサポニン添加量に比例して減少したが,1.0%コレステロールの同時添加でサポニンの害作用は緩和された.コレステロール添加による血清および肝臓コレステロール濃度の増加をサポニンは抑制しなかった.試験2では,オイル添加がサポニンの害作用に及ぼす影響を調べた.10%のコーンオイルあるいはココナッツオイルの添加は,0.5%サポニン添加飼料給与でみられた発育阻害を一部軽減した.コーンオイルの緩和効果はココナッツオイル添加より優ったが,1.0%コレステロール添加より劣った.試験3では,味覚の影響を避けるために,サポニンあるいはコレステロールをカプセルに入れて腺胃に直接投与し,その後,市販飼料を24時間自由摂取させた.この場合でも,50mgあるいは100mgのサボニン投与で飼料摂取量は低下し,等量のコレステロールの同時投与で緩和された.試験4では,酸化クロムを用いて飼料の消化管通過速度を測定した.1.0%サポニン添加飼料の強制給餌は〓嚢から腸管下部への飼料の移行を阻害した.しかし,1.0%コレステロールの同時添加で移行速度は正常に戻った.2mlのコーンオイルを1.0%サポニン添加飼料と同時に給与しても,わずかではあるが,〓嚢からの飼料の移行を促進した.以上の結果は,茶サポニンの害作用とコレステロールあるいはオイルの緩和効果には飼料の消化管通加速度が関与していることを示唆した.

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