日本畜産学会報
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ブタの閉鎖集団において血縁個体の情報量が産子数の改良に与える影響
佐藤 正寛古川 力
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1998 年 69 巻 6 号 p. 592-598

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抄録

家系選抜指数およびBLUP法により,選抜候補の血縁情報量がブタの産子数の改良に与える影響について検討した.産子数の遺伝率は0.1,記録として用いた世代数は選抜候補を第0世代として第4世代までとした.一腹から得られる雌の育成頭数は2~4頭,雄1頭あたりに交配される雌の頭数は5または10頭とした.選抜候補およびその世代の血縁個体の記録は得られないものとした.選抜候補の雌親の血縁個体の記録を用いたときの家系指数による選抜の正確度は,選抜候補の雌親のみの記録によるそれに比べて2倍前後大きくなることが期待された.一腹あたりの育成頭数を一定として雌の育成頭数を変えた場合,選抜候補の雌親のみの記録による選抜では,育種価の期待改良量に大きな差はみられなかった.しかし,選抜候補の血縁個体の記録を用いた選抜では,一腹の雌(雄)の育成頭数によって育種価の期待改良量が異なった.さらに,コンピュータシミュレーションにより発生させた産子数の記録に基づいてBLUP法アニマルモデルにより選抜した場合も,育種価の期待改良量に同様の傾向が認められた.したがって,一腹あたりの育成頭数に制限がある場合,BLUP法アニマルモデル等のように家系情報を用いて選抜する場合には,雌親のみの記録による選抜に比べ,一腹あたりの育成頭数に占める雌の頭数を考慮する必要性が示唆された.

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