日本畜産学会報
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肥育牛における血清中ビタミンC濃度
高橋 栄二松井 徹若松 繁岼 紀男塩尻 泰一松山 隆次村上 弘明田中 真哉鳥居 伸一郎矢野 秀雄
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1999 年 70 巻 8 号 p. 119-122

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抄録

反芻家畜は充分量のビタミンCを体内で合成することができるとされているが,子牛や乳牛においてビタミンC欠乏が報告されている.一方,肥育牛におけるビタミンC栄養状態はほとんど検討されていない.そこで,本試験では肥育牛の屠畜時におけるビタミンC栄養状態を血清中ビタミンC濃度の指標として調査するとともに,肥育過程における血清中ビタミンC濃度変化を検討した.市場に出荷された黒毛和種牛の屠畜時における血清中ビタミンC濃度は,26.4±22μM(4.6~95.3μM)であった.このように黒毛和種牛の屠畜時における血清中ビタミンC濃度は個体間の変動が大きく,一部のウシではビタミンCが欠乏している可能性が示唆された.ついで,黒毛和種牛の肥育に伴う血清中ビタミンC濃度の変化を測定した.いずれの時期においても血清中ビタミンC濃度は個体により大きく変動することが示されたが,この結果は屠畜時の血清中ビタミンC濃度の大きな個体差と同様であった.また,血清中ビタミンC濃度は肥育前期ではすべてのウシで60μM以上の濃度を示していたが肥育が進むとともに著しく減少した.以上の結果から,肥育の進行に伴い血清中ビタミンC濃度は低下し,個体によってはビタミンC欠乏の可能性があることが示唆された.そこで,ウシに利用可能なビタミンC製剤を肥育牛に給与することが好ましいと考えられた.

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