2000 年 71 巻 10 号 p. 483-490
鳥類の嗅覚機構を解明するため,ニワトリ嗅球の遠心路および求心路をバイオサイチン法およびホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)法をそれぞれ単独に用いて明らかにした.バイオサイチン法の結果より,ニワトリ嗅球の遠心路は線維群の通過部位から経路1~3に分類することができた.経路1は同側の副高線条体(HA)および海馬(Hp)への投射を有していた.経路2は同側の最上介在高線条体,腹側高線条体(HV),新線条体(N)および基底核(Bas)への投射を有していた.経路3は両側の嗅旁葉,嗅結節,前頭原線条体路,填古線条体,前原線条体,梨状皮質,側頭頭頂後頭野,紐核,対側のHA, Hp, HV, NおよびBasへ投射していた.HRP法の結果より,ニワトリ嗅球の求心路は両側の外側中隔核,内側中隔核およびHpから投射を受けていた.また,ニワトリ嗅球はHpと相互結合を有していた.