2016 年 21 巻 2 号 p. 157-166
近年の気候変動の影響により、多くの種で絶滅の危険性が高まるなど生物多様性が損なわれる危機が生じており、適応策の必要性が指摘されている。長野県においては、「長野県生物多様性概況報告書」を基礎に気候変動影響も視野に入れた「生物多様性ながの県戦略」を策定した。これは生態系サービスにも着目し、環境部のみならず農政部、林務部、観光部、建設部等、多くの部局の施策に関係した内容になっている。また、10年が経過したレッドリストの改訂作業を通して、絶滅危機の新たな要因の評価には、予測科学の成果とともにモニタリング情報が必要であることが改めて認識された。現在、長野県では、市民参加のモニタリング体制が構築されデータが蓄積されつつある。これらの成果を基礎として、今後、関係者の連携体(プラットフォーム)での情報共有と検討を通じて、より包括的で柔軟な適応の体制を築く必要がある。