2022 年 41 巻 2 号 p. 33-38
目的:脛骨顆部後方回転による解剖軸と機能軸の角度の変化を調査した。
対象と方法:109症例131膝の脛骨側面像において,脛骨骨幹前方皮質に沿った線に対する顆部前壁に沿った線のなす角(Angle AW),解剖軸のなす角(Angle AA),機能軸のなす角(Angle MA)を計測し,解剖軸と機能軸のなす角(解剖軸機能軸角)を算出した。また,脛骨の膝関節面上と足関節面上での機能軸と解剖軸の距離(Dist. KN,Dist. AN)を計測し,Angle AWとの相関を調べた。
結果:Ange AW,Angle AA,Angle MA,Dist. KNおよびDist. ANの平均は,それぞれ,15.4°,1.2°,3.6°,14.1mm,および0.5mmであり,Angle AWに対する,Angle AA,Angle MA,解剖軸機能軸角,Dist. KNおよびDist. ANの相関係数は,それぞれ,0.04,0.39,0.48,0.65および0.21であった。脛骨顆部の後方回転が大きいほど,脛骨の膝関節面と足関節面は後方へ偏位し,機能軸と解剖軸のずれは大きくなった。
考察:顆部の後方回転により膝関節面は後方へ偏位するが,足関節も後方へ偏した。偏位は膝関節面が大きいため,機能軸は後方へ傾斜し,解剖軸と機能軸とのずれは大きくなった。
結論:脛骨顆部後方回転により,矢状面における脛骨の解剖軸と機能軸のずれは大きくなる。