2016 年 21 巻 2 号 p. 95-102
2015年12月の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択され、緩和と適応の両者が2020年以降の気候変動対策の国際枠組みの柱として位置づけられた。日本においては、2000年代半ば以降、環境基本計画等の下で気候変動やその影響に関する調査研究、観測などが実施されてきたが、欧米各国の国家適応計画等の策定や日本国内での気候関連の災害の増大などを踏まえ、2013年に中央環境審議会において気候変動影響評価等小委員会が設置され、政府による適応計画策定のためのプロセスが開始された。その後、2015年3月に気候変動影響評価報告が公表された。この結果を踏まえ、またCOP21に貢献するため、関係府省庁連絡会議が設置され、2015年11月には政府の適応計画が策定され、閣議決定された。適応計画では目指すべき社会の姿、基本戦略、計画の期間等の基本的考え方の下、7分野での分野別施策や基盤的・国際的施策が示された。政府は、本計画の下で関係府省庁の適応策の実施を進めるとともに、PDCAサイクルの構築、地域や途上国での取組への協力を進めている。