本稿では、気候変動適応策について、特に現在実施されている適応策に対して追加して実施すべき適応策(「追加的適応策」)に着目し、その理論的枠組みの設定と具体化を行った。主な成果は、次の4点である。
第1に、適応策とは抵抗力の改善であり、抵抗力には適応能力と感受性の二つがある。このうち、追加的適応策としては、感受性の根本改善が重要である。また、短期的な影響への適応だけでなく、中・長期的な影響に対する順応型管理システムの構築が肝要である。
第2に、感受性の根本改善を検討するために、影響の社会経済的な要因分析が必要となる。感受性の要素としては、(1)土地利用、(2)社会経済的弱者、(3)活動の画一性等の面が考えられるが、さらに影響事例の分析が必要である。
第3に、順応型管理においては、(1)予測と代替案の設定、(2)監視と予防、(3)科学と政策の連動、(4)関係者による情報共有と学習が重要である。順応型管理は、これらの方法をあらかじめ計画しておく点で、単純なPDCA(plan-do-check-act)と異なる。
第4に、地域の主体が気候変動の影響事例を調べ、それを共有することで気候変動の影響を自分の課題として捉える学習プログラム(「気候変動の地元学」と名づける)は、地域主体の適応さらには緩和への意識を高めるうえで効果的である。