抄録
福井県ではクマの大量出没予測を目的に,ブナ科樹木3種を対象とした豊凶モニタリング調査を実施してい
る。この調査は出没予測には有用であるものの,豊凶判定については一般イメージとの乖離が課題となっている。
そこでこれまでの調査データから,クマの大量出没が作柄不良年に発生すること,豊作20%,並作50%,不作以下
30%の割合となることを条件として,豊凶判定基準を検討した。密に着果した個体の割合を指標として,決定木
分析で出没年の作柄条件を求め,さらに実際のデータの頻度分布および確率分布にもとづいて,樹種ごとに豊作
と並作の下限値を設定した。検討の結果,出没年との対応や豊凶の割合において妥当な分類基準を策定した。