本稿では,ユーザビリティエンジニアリングの観点から教育工学的手法によって,効果や効率および満足度の高い言語学習や指導を提供するサービスを提案する目的で,語彙情報の表示システムの開発について述べる。コーパス言語学をはじめとする計量的な言語分析を行う研究分野では,1960年代以降多くの定量的な語彙表が作成された。一方,コンピュータ科学の分野ではWordNetと呼ばれる電子的な概念辞書データベースも開発された。しかしながら,学習目的への応用という側面では,これらのコンテンツは十分に連携を取りながら活かされているとは言えない。本研究では,頻度,難易度,関係性の観点から,これら言語学・情報学それぞれの分野で産出された既存の語彙データを再活用し,語彙学習に向けた学習者向けの学習サービスの提案を試みた。具体的には,語彙間の関係性をWordNetに収録された類語辞典的なデータではなく,上位語・下位語の階層情報に注目し,それらの可視化によって,語集団としてのグループ生成のシステムを開発した。本稿は,そのシステム実装に関して報告する。